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おもしろいモノがホイホイあるわけがないのは理解できるが、高校一年の秋人にとって、それは退屈な風景だという印象しかなかった。
そんなつまらない散歩コースをチャオは毎日、楽しそうに駆け回る。
くるんと巻いた尻尾をピコピコ揺らせて、気になるものがあれば、すぐに駆け寄り、においを嗅ぐ。
(いつも同じコースなのに、飽きないもんだなあ)
チャオのお尻を眺めながら、秋人はチャオを羨ましく思った。
散歩コースも折り返し地点に差し掛かる頃、秋人は少し広めの公園に居た。
大きめのグラウンドに、別スペースにはブランコや滑り台もある。休日の午前中はグラウンドでゲートボールをしている御年寄り達を見る事もできる、多くの人間が利用する公園なのだ。
蛇口を捻ると水が出る水道もあって、喉が渇いたチャオのために、立ち寄るポイントでもある。
今も、チャオに水を飲ませているところであったのだが、そこでとある男女に目が引かれた。
と、いうより、女の方に目が行ったというべきだろう。
その女性は、綺麗なブロンドの髪を光らせ、公園の名前が掘り込まれた石碑の前で男と何やら話している様子だった。
そのブロンドの髪から、外人であることは明確に判断できる。
青い瞳は、透き通っていて、こんな日本の住宅街傍の公園にいるのが似つかわしくないとも思える。
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