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「おまじゃ、します」
「言えてないぞ」
「うー。お・ま・じゃ……」
「いいから! お、お茶ね。すぐ準備するから、座っててね」
慌てる母親が台所へと引っ込んでいくと、冷蔵庫をガタガタとやり始める。
「じゃ、オレは着替えてくるからちょっと待っててくれ」
「ハーイ」
多少緊張しているのか、シャーは学校で見せたみたいな威勢のいい返事ではなく、歳相応の女の子らしいしおらしい声で返事した。
チャオを片手でなでながら、座椅子に腰掛けてひらひらと掌を軽く振った。一応、シャーも人の家に上がるとそれなりに遠慮する精神を持ち合わせているのだろう。
あまり一人にしていられないとも思って、秋人はさっさと二階へ上がり、自室で着替えを済ませる。
なんとなく、私服をどれにしようか悩んだが、そもそも昨日のファーストコンタクト(厳密にはファーストコンタクトではないが……)の時にラフなTシャツ姿だったから、今更着飾ったって仕方ないかと、シンプルなシャツを選んで袖を通した。ズボンは夏らしいハーフパンツでまさに『いつもどおり』の姿となった。
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