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はっとしてしまって、今の猫なで声を聞かれてしまったと、秋人は表情を赤くし、シャーを見た。
シャーはきょとんとした顔で、秋人を見つめていた。やはり、こんな巨漢が、子犬相手に赤ちゃん言葉みたいにじゃれるのが気持ち悪かったかも知れない。もしや、これでこのアメリカンガールとの関係も終末を迎えるのだろうか、もしかしたら、そのまま学校で噂されてクラス中に、秋人が不釣合いな姿で犬に猫なで声を出していると笑いものにすらされてしまうかもしれない。
「しゃ、シャー……あのな、これは、その……」
「ソウユーの、見たら、みんな分かるのにネ」
「……え?」
シャーの言っている意味が分かりかねて、秋人は思わず聞き返した。しかし、その答えが返ってくるよりも、いよいよ騒ぎはじめたチャオが、早く散歩に行こうと催促するみたいに吠え出したから、結局秋人とシャーは、そのままチャオの散歩へと連れ立っていくのであった。
もう一度、二人は夏の黄昏へと足を踏み出していく。夕方六時前でも、七月の太陽はまだまだ高く、青い空を確認できるほどだった。
家から散歩へ出た二人は、とりあえず、昨日出会った公園を目差して歩き始めた。
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