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チャオが吠えた。秋人が立ち止まっていたせいで、早く行こうと急かしているのだろうか。
その鳴き声にシャルロットと男がこちらに顔を向けた。
「ハイ! アキト!」
シャルロットが明るい声でこちらに駆け寄ってきた。
自分の名前を呼ばれた事に驚いた秋人は、そこで立ち止まっているしかなかった。
シャルロットが秋人に駆け寄ると、男のほうはバツが悪くなったように、小さく舌打ちしてからその場を去って行った。
「は。はい。しゃるろっとサン」
慣れない挨拶をして、硬い表情で秋人はシャルロットへ手を上げた。
「助かりましタ! アイツ、ネンド草かっタ!」
(ネンド、草、刈った?)
「アタシ、あの人知らないケド、ガールフレンドになれって、ヒツコイ」
「……あぁ、ナンパされてたのか」
どうも先ほどのネンド草は、めんどくさかった、と言いたかったらしい。
「アキトが来たから、ヨカッタね!」
「いや、俺は何もしとらん」
「イヌ!」
「チャオだ」
「チャオ、名前? ウケるー!」
(なぜ、ウケる)
シャルロットは、しゃがみこんでチャオの首元を撫でながら、楽しそうに笑っていた。
こうして、改めて近くで彼女を見て分かったが、シャルロットは小さい。
その身長は百五十センチくらいしかないように見える。
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