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ニギミタマ① ~十日から十四日~
六月のたしか十日だったように思う。
最近は雨の日が続くねーなんて友達と話していたし、実際六月の一週目はほとんど雨だった。
それで、久々に晴れた日で、たまたま前日の夜は綺麗な満月が浮かんでいたんだ。うん、間違いない。それで月の話題になっていたんだから。
「――そういえば 月って実はゆっくりと地球から離れて行ってるんだって」
「えっ、じゃあ月なくなるの?」
満月の話題から私は話を広げるために、持ち前の雑学を語って見せた。そのうんちくにいち早く反応を返してくれたのが、私ら仲良しグループの中の一人、十文字ナノ。彼女はちょっとばかり天然が入っているマイペースな女の子で、私の幼馴染でもある。
「って言っても、毎年三センチ程度だから、月が地球からオサラバするのには私たちが生きてるうちにはあり得ないから大丈夫だよ」
「なんだー。でも月の影響って地球に色々と及ぼしてるんでしょ~? たしか、潮の満ち引きとか?」
「あ、それ聞いたことあります」
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