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原因まで書いているものには、部活で悩んでいたとかだ。最近、演奏がうまくいかず、顧問から厳しい対応を取られたと書いてある。いまいち決定打になるものはない。こちらとしては、四谷ココロが妊娠しているという情報はつかんでいるのだから、それにつながるものがあればと考えたが、異性交遊のタレコミは見受けられなかった。
「校長先生は、この生徒の事ご存じですか」
「私は。その。なんとも、可愛らしい生徒だとは認識しておりますが」
「担任の先生、呼べますか」
「あ、ハイ。ちょっとお待ちいただければ」
校長が皴だらけの頭を掻きながら校長室から出て、職員室のほうまで向かってから、オレは五十嵐警部に窺った。
「なんか、クサイと思いません?」
「……教師が聖職者なんて呼ばれる時代は終わってんだよ」
いくつか手紙を読みながら待っていると、校長が一人の男を連れ立って戻って来た。どうやら、四谷ココロの担任らしい。名前を八房ヒロトと言った。眼鏡をかけたひょろりとした体躯で、優しげな印象を持った。五十嵐警部とは真逆の人間だ。
「忙しいところすいませんね。今回の事件の事でいくつかお聞きしたくて」
「はい、なんでしょうか。なんでもお応えします」
「ココロさんて、どういう生徒でした?」
「大人しい子でした。ただ大人しすぎて、気が弱いところもありましたね」
そういう八房先生は陰のある表情でうつむき気味に答えた。自分のクラスの生徒が亡くなればショックも受けるだろう。
「何か彼女から相談を受けたりとかしとらんですか?」
「いや、とくには……」
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