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「あまり印象に残った生徒じゃないってことですかね」
「……面目ない」
そんなやり取りで、オレ達は一度引いた。校長と八房には席を外してもらい、生徒との面談を用意してもらうように進めてもらったわけだが、五十嵐警部は厳しい顔をしてつぶやいた。
「あの八房ってのは、ウソ言ってたな」
「え、どこがです」
「担任が四谷ココロを気の弱い生徒だと言ったろうが。あんまり応答したくないようだったし、大人しい生徒だったから印象にないということで切り上げたかったんだろうが……」
「でも、四谷ココロが大人しくないなんて証拠はないでしょ」
「まぁな、でもあの娘、トランペット奏者だったんだよな。吹奏楽部の。……トランペットっていやあ、吹奏楽の華だ。そんな子が大人しかったとか印象に残ってないってのは、どうも引っかかるね」
なるほど、と思った。事件をうやむやにでもしたいのだろうか。校長の指示でそうさせられているのかは分からないが、教師のフィルターを通すより、生徒の生の声を参考にしたほうがいいかもしれない。
――空き教室を用意してもらい、オレと五十嵐警部はそこに一人ずつ生徒を通して質疑応答を行った。
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