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一人ずつといえど、全校生徒全てを聴取するのではなく、部員や友人に的を絞ってのものだ。これもこちらで用意したリストを事前に学校側に提出し、校内放送で一人ずつ呼び出してもらった。
生徒と話すほうが、実際のところ、教師相手よりもやりやすい。彼らは素直に語りたいことをペラペラと喋ってくれるからだ。
――そう思っていたのだが――。
「じゃあ、思い当たるようなことは何もない?」
「はい」
「四谷さんってどんな女の子だったの?」
「あんまり、知らなくて――」
「同じ部員だろう。知らないってこたぁねえだろ」
「同じ部員ってだけです。おじさんたちの時代はどうか知りませんけど、うちらはプライベートは分けてるんです」
「……プライベートってお前……」
オレも五十嵐警部も絶句した。なんというか非常にドライだったのだ。
「ごめんなさい、全然知りません。もう帰っていいですか?」
「いや、もうちょっと……」
「来週期末試験なんです、少しでもやっておかないと。こんな時期に取り調べなんて迷惑です」
「……クラスメートが死んでんだぞ」
「クラスメートが死んだって、テストはあるし、受験は来年なんです」
今の子というのはこんなにも冷たいものなのか。
正直なところ不気味にすら思ったのだ。まるで自分に被害が及ばないならそれは全て他人事でしかないと言わんばかりであった。
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