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それどころか、こうして自分の時間を奪い去るこちらを悪のように扱って、しまいには四谷ココロにすら『迷惑なタイミングで殺されて』などとという始末だ。
――どうにも奇妙に感じていた。
この高校の対応すべてがどこか狂っているように思えてならない。
生徒が殺されたというのに、通常を保とうと正常を維持しようと教師も生徒も必死のように見えたのだ。
何かの異質な圧力を感じながら、オレと五十嵐警部はろくな情報を得られずに、駐車場に戻ることになってしまったわけである。
異常な事は無視をする。
そんな取り決めが行われているような感覚が不気味に広がっている感覚がした。日常を取り戻し、自分のペースを乱そうとするものを排除することが正義であるかのような集団の意思が垣間見えて、車内でオレ達は溜息を吐いた。
「どう思う」
「オレたちがオカシイんじゃないかって気になってきました。オレが高校生のころなんて、校庭に野良犬が紛れ込んできただけで大騒ぎのお祭り騒ぎでしたよ」
「……学校の方はとりあえず置いとけ、このM学園ってのはキナ臭いが……」
「あっ……そういや、あの第一発見者も、M大学の学生です」
「……とりあえず、四谷ココロの男周りを調査しなおすぞ。妊娠させた人物を見付けるんだ」
五十嵐警部の指示にオレは頷いて、車を出そうとアクセルを踏み込みかけた時だ。
――コンコン。
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