アラミタマ③ ~十二日から十八日~

4/10
前へ
/241ページ
次へ
 能力とは言ったが、空を飛ぶとか念力が使えるとかそういう特殊なやつじゃない。  ちょっとした特技みたいなものだ。  何人も人殺しをやったおかげか、ある種のニオイに敏感になるようになった。  それは所謂『死臭』と呼ばれる臭いだった。  この死臭というのは、死体から発生する独特のつーんとする臭いだが、自分の鼻はこれに対して非常に、敏感に感じる事が出来るようになった。  人を殺すことは正直言って難しいことじゃない。やろうと思えば子供でも可能なものだろう。しかしながら、本当に難しいのは死体の処理だ。色々と方法はあるが、人の目につかないところに隠していても五感の一つ、嗅覚は死を捕らえてしまう。  だから、自分はこのニオイに対して敏感になった。  そしていつしか、死臭をかぎ分ける事が出来るようになっていることに気が付いた。  それも人の嗅覚という域を超えたとらえかたができるくらいになっていたのだ。これも神からの贈り物なのかもしれないし、人殺しスキルのレベルアップ報酬かもしれない。  ともかく、鼻が利くという能力を活かし、死臭を追うことで今回の殺人犯を見付けることができるかもしれないと考えていた。  程なくして見事に標的を発見するに至った。     
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加