アラミタマ③ ~十二日から十八日~

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 そこまで考えて、オレは明日、レストランで彼女と会う時に、それははっきりすると思った。明日、レストランで彼女と再会した時に、死臭がしなければ、彼女は二人いる可能性があるということだ。  すなわち、発見者としてのサクラと、殺人者としてのサクラ。  彼女が双子だとしたら、答えはでる。 「調べる必要がある」  オレはすぐさま、この百田サクラという人間の素性を調べる必要があると考えた。  刑事としての立場が今のオレをいつも助けてくれる。殺人鬼としての自分も、刑事のオレが守ることでオレは誰よりも楽しく生きていけるのだから。 「この人生をめちゃくちゃにされてたまるか」  モモタサクラ――。  百田サクラ……? オレはその名前をどこかで聞いたことがあるとデジャヴのような感覚に襲われた。  それはこの事件に関係するものではないもっと昔だったようにも思う。 だが、それがなんなのかはその時は答えが出なかった。  まぁいい、これから調べるのはアイツが殺人犯か否かということなのだから――。  結果から言うと、やはり百田サクラは二人いるという結論に至った。  翌日レストランにやってきた彼女は、死臭がしなかったからだ。オレの感じる死臭は普通の『死臭』とは違う。人を殺した人間が持つ死臭なんだから。  それを強く持ったあの雨に濡れたサクラこそ、今回の殺人事件の犯人に他ならない。  それと、驚いたことがもう一つ起こった。     
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