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ニギミタマ② ~二十日~
――何も考えずにいられる時間が、なにより幸せな時間なのだと、アタシは知らないままだった。
暖かい湯船につかり、ぼんやりとしていたアタシは、今なんにも考えてないなーという事を考えていた。迫りくる期末試験を目前に控えた週末の夜。アタシは現実逃避にふけっていたのだ。
毎日、好きなことを一生懸命にやっていれば、おのずと道はできていく、そんな言葉を昔どこかで聞いたけど、アタシの場合それは当てはまらなかった。
その時のアタシはそう考えていたが、そもそもアタシはやりたいことをやっていたわけでもない。やりたくないことを避けていただけなのだ。
やりたいことは良く分からないけれども、やりたくないことはいっぱい見つけることができた。不思議なものでやりたく無いことを避けていても、やりたいことを出来ているわけではないのだ。
こんなことを考えているのも全部期末試験が悪い。試験したくない。あー……先行きも全然見えてない。
進路希望調査には進学と書いたが、進学がしたいわけじゃないのだ。やることないから、とりあえず進学でしかない。なんと空虚な女なんだアタシは……。
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