アラミタマ④ ~二十二日・新月~

3/10
前へ
/241ページ
次へ
「んでな、教師の言葉は線でつながると思えたんだわ。だからあいつぁ、嘘は言ってないと思ったね」 「嘘を見抜くってのは、ウチらにゃ必須技能ですからね」  優れた捜査官ほど、相手が嘘をついているかを見抜くことができる。嘘をついている時のサインは、色々あるが、重要なのは自然ではない事を見付ける瞬間だ。違和感をどれだけ感じ取れるかが刑事の技術に関わってくる。  長年刑事をやってきた五十嵐警部がいうと、それは確かに頷けるものだ。 「でな、オレぁ今回の事件でよぉ。イッコだけ点と点が結びつかねえ処があったんだわ」 「なんスか?」  オレは警部のボヤキにほとんど曖昧に返事をしていた。こういうのはよくある、毎度きちんと相手をしていると、めんどくさいので、今回もどこか曖昧に相槌を打った。 「……高校によぉ、聞き込みにいった時ンこと、覚えてるか」 「ああ……、ハイ。あの女の子がタレコミしてくれた時ッスね」 「ああ、その日のことだ……。あんとき、車ン中で、お前に第一発見者の事、訊ねたろ?」  オレは、その言葉に眉をしかめた。どの時の話なのか、すぐに頭に浮かんでこなかったのだ。 「お前、あんとき『そっちの事は調べてませんでした』っつったわな」 「……そうでしたっけ?」     
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加