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そんな考えをモヤモヤしていたら、メンタルがどんどん臭くなっていく。だから、アタシはお風呂でなんにも考えないように、心を無にしようと投げ出すように体をお湯に預けて、したくないことを無視しはじめた。
のんびりお湯につかっていると、このまま時間が永遠に進まなきゃいいのになあと思ってしまう。
が……、結局のぼせてしまうので、アタシは適当なところで浴槽から出るしかなかった。
「アニキー、お風呂あがったよ」
「おう」
アタシは気持ちよく一番風呂をいただき、次に入る兄に声をかけた。
兄のマサオはアタシの三つ上で、現在十九歳。大学生やってる普通の平凡な男だ。見た目も趣味もこれといってパッとしない。そんな印象の兄だった。
別に嫌いではないが、なんというか主張の少ない性格でアタシとは正反対だと思っていた。
「……なあ、ミドリ」
「んー?」
アニキはさっさと風呂に行けばいいのに、風呂上がりのデザートを求めて冷蔵庫をごそごそやっているアタシに、何やら神妙な顔で声をかけた。
あんまりアニキとは話さない。別に仲がいいわけでも悪いわけでもない。ただ、会話が少ない兄妹だった。
だから、こんなトーンでアニキがアタシに話しかけるのがちょっと違和感を覚えた。
「……お前、彼氏とかいんの?」
「はぁ? なにいきなり」
「……いや、いいわ。風呂行く」
「はああ? なにそれ、アタシにゃ聞いても無駄だってコト?」
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