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有力な妖怪たちが連盟を作り、そこに弱小妖怪を取り入れて、組織はできあがった。
力の弱い妖怪などは、組織に頼らなくてはもう生きていくことができないが、我のような力のある者は、人間社会に紛れ込み、組織とのパイプ役を担うような仕事を任されていた。
「狐火よ、そちらの領域内にて、結界のよどみを感知した。調査し、対象を捕縛せよ」
判子から形作られた幻影はもやもやと揺れながら奇妙に反響する声で指令を飛ばしてきた。
「承知」
それだけ返すと幻影は消え失せて、書簡は塵になって空気の中に溶けて行った。
我が視線をOL姿の迦楼羅に移し、情報の開示を求めた。
「ニュースは見たかしら。女の子の惨殺事件。あれね、ヒトクイ妖怪の仕業みたいなの」
「事件があったのは、十三日だったか」
ちらりと机に置いてあるカレンダーの日付を見て、時間軸を整理する。
ニュースでは十三日の夜、事件は起こったと告げていた。迦楼羅はその言葉に頷き、さらにつづけた。
「食事を摂ったのはそれでいいみたいだけど、結界のゆらぎを確認したのは六月九日だったわ。ちょうど、満月の晩のことよ」
「……成程。この領域に外来してきたヒトクイ妖怪が結界をくぐったというのだな」
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