クシミタマ① ~十四日~

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「……ふむ、月か……それに詳しい妖怪に聞いてみるのはありかもしれんな」  得られた情報は、二つ。  月、満月。そして、子宮を食らう。まだ情報が足らないのは重々承知だが、現状はこのくらいが限界だろう。そろそろ家に戻り、状況を整えておかなくては、宿主に負担をかける。  我は今後の捜査方針を固めつつ、そのまま跳躍した。雨に濡れるのが面倒だったので、己の周囲に気を張り、膜のようにして雨から身を守る。先ほどカラス天狗がやっていたのと同じ妖術だ。  それから、人間の事件捜査も情報として集めておこう。人の捜査能力もバカにできない。  科学捜査というのは、思いもよらぬ事を露にしてくれることもある。最も、すべてが済めば妖怪事件の記憶は都合よく修正されることになるが。  利用できるものは、利用させてもらおう。昨今は神隠しなどと、都合よく妖怪の仕業にされてしまう事件もあるのだから――。
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