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クシミタマ② ~十八日~
「カツラオトコ?」
我は思わず聞き返した。あまり馴染みのない名前だったからだ。
「そ、桂男。妖怪、月のアヤカシ。エイリアン、宇宙人。イケメン。女たらし」
ツラツラと単語を並べる妖怪の情報屋である雲外鏡は、我の出した情報から今回の騒動を引き起こした妖怪を言い当てた。
我はトイレで、鏡に向かって腕を組み考え込む。すると、鏡の中の自分は腕組みなどせずに、盛大に欠伸をした。
「ふぁー……寝ずに調べたし、間違いないよ」
鏡に映る我の姿は眠そうに言った。それこそが雲外鏡であり、鏡に憑く妖怪、付喪神の一種であった。ビジネスパートナーとして我が捜査に協力している雲外鏡は昔からの付き合いのため、気さくに話せる関係をしていた。
その雲外鏡の情報は正確であり、妖怪の知識は信頼のおけるものだ。別に雲外鏡を疑っているわけではないが、エイリアンと言われてしまうと、眉をひそめてしまう。
「どういうヤツだ?」
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