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「桂男は、月の妖怪で、かなりのイケメンなんだよ。夜な夜な、女の子が乙女心を月に映してお願いするのを聞いては、いやらしい目でその娘を見つめ返す。やがて、月に祈った女性は、月の虜になっていき、桂男に寿命を削られ食われるんだって」
「……月の妖怪が直接こっちまでやってきたと云うのか」
大人しく月からこっちを見下ろしていればいいのに、わざわざ出向いて食事をしに来たのは、こちら側にとっては厭客と呼ぶよりない。
「満月の夜に干渉してきたことも、月のチカラが十分発揮できるからじゃないかな。逆に言うと、月がかげるほど、桂男は身をくらます事が行いやすい」
「月の影響か。だとしたら、新月が最も桂男が身を隠し動ける絶好の機会ということか」
「子宮を喰ったというのも、女性の象徴であり、命を作る寿命の根っことも言える」
雲外鏡は補足して情報の整合性を高める。我もその言葉に頷いて、そして同時に時間が経つほど不利になると考えた。
月が明るく出ていれば桂男の気配はつかみやすくなるだろうが、月が見えなくなるほどに、気配は薄れていくのだ。満月から日付が廻れば、月は徐々に欠けていく。新月ともなれば、完全に桂男の気配が消えてしまう恐れもあった。
「月の周期……。次の新月はあとどのくらいだ?」
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