クシミタマ② ~十八日~

8/11
前へ
/241ページ
次へ
「人は見かけによらないんだねー」  続いてメッセージが表示されたのは十文字ナノというこちらも友人の一人である。 「まだ、容疑者ってだけでしょ。犯人かどうかは分かんない」  冷静な判断をするのが一条ケイコ。 「明日、学校どうなるんでしょうか」  宿主である二木カリンは不安げにそう打ち込んだ。  彼女はいつも、丁寧語で遠慮気味に会話する。それはチャットの文面だって変わらない。  二木カリンは、自分が時折ボンヤリとしてしまうクセがあると自覚していたから、よく人の話を中途半端に聞いていたり、反応が遅れたりすることがあったため、気を付けているものの、人とのコミュニケーションに関して、一歩引くようなスタンスを作るようになった。  それは我に憑かれているため、そういう状況を生み出してしまったのが申し訳なくも思うが、こちらとしても宿主をほいほいと乗り換える事は出来ないため、受け入れてもらうしかない。  どうしても、友人に対して遠慮がちに話しかける事が増えて、いつしか彼女は丁寧語が標準語になったのだ。 「休みにならないかなあ」  ナノがマイペースにそんな事を言う。 「ていうか、試験も中止にならないかな」 「いやいや、気にするとこそこかよ」     
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加