クシミタマ② ~十八日~

10/11
前へ
/241ページ
次へ
「そう。で、何してるんだって私気になってさ、指の先を追ったんだけど、どうも二‐Cを指さしてるみたいだったんだよ」 「なにそれ、コワッ」  反応したのはミドリだった。どうやら彼女もその話は知らなかったようだ。  カリンが登校する前にあった出来事だったのだろう。 「で、先生たちが警告に来るかもって思ってたら、まるで煙みたいに消えちゃったんだよね」  ケイコが不思議だったとメッセージを打ち込んだ後、ナノも同調して返事をする。 「お化けみたいだよねー」 「もしかして四谷さんの幽霊?」  ぞっとでもしたのか豊かな空想を膨らませ、ミドリがそんなことを言う。が、すぐさまナノが否定した。 「ココロちゃんじゃないよ、全然違う人~」 「なんだよー、じゃあなんで指さしてたんだろな」  そのやり取りに、カリンは疑問を持ったらしい。チャットメッセージ欄を暫しじっと見つめて考えていた。我も今の発言には違和感を持った。だが、カリンは特にその事を聞き出す気はないのか黙っていた。  ともかく、八房教師が逮捕されたのは間違いない。それを確認する必要がある。  もし、その教師が桂男なら妖怪としても逮捕する必要があるのだから。  カリンは自室に向かいながら、渦巻く不安にこれから先の事を考えているらしい。     
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加