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クシミタマ③ ~二十日~
六月二十日、新月まで残り二日という状況だった。現在は夜の八時前――。
二木カリンは自宅で夕食を食べ終えて机に向かっている最中、自分のスマホが着信音を奏でたので画面を覗き込んだ。
「お前彼氏とかいんの?」
というチャットメッセージに何事かと思った宿主のカリンは送り主であるミドリに返信した。
それから簡単なやりとりをしていると、家族からお風呂に入りなさいと促されて、カリンは洗面所にやってきた。
楽な部屋着を脱いで籠に放り込むと、洗面所の鏡には下着姿のカリンが映し出された。それからブラのホックを外そうと後ろに手を回した時、鏡の中のカリンはショーツの方に手をかけているのをみて、我はすぐさま宿主の意識を乗っ取った。
「おい、雲外鏡」
「や、狐火。ほんと、可愛らしい姿だね」
「この助兵衛が。何用か?」
「ちょっと気になる話を仕入れたんだ。桂男のヒントになるかもしれないと思ってね」
「なんだ?」
我は下着姿のままに、洗面所の鏡に向かって声を落として訊ねた。こちらも準備は整えているが、情報は多いに越したことはない。
「情報元はべとべとさんからなんだが――」
――そう前置きをして語りだした雲外鏡。
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