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「なるほど、ケーサツの調べ、助かると伝えてくれ。あとべとべとさんにもな」
「頼むよ、実行役として、あとは君に頼るほかない」
狐の妖怪である我は、稲荷信仰のために、昨今でもそれなりの妖気を保つことのできる戦闘可能な妖怪だ。情報はほぼ出そろった。あとは桂男を捕まえるなり、消滅させるなりする必要がある。つまり、実力行使となるわけだ。
裏方のサポートから、我の本格的な仕事に移り変わる。
雲外鏡が消えた事を、鏡に映る己の姿で確認して、我は下着をすべて脱ぎ、湯船へと浸かった。そして、ゆっくりと意識を沈めると、カリンはぼんやり意識を取り戻し、風呂に入ってぼぅっとしてしまったと認識する。
「彼氏かぁ……」
カリンは、ぼうっとそんな事を考えながら、湯船に肩まで浸かって、身を脱力させた。
ミドリのチャットの事を気にしているのだろう。カリンとて年頃の乙女だ。気になっている男性はいるのだが、それはまだ誰にも言えていない。
「カリンー、いつまで入ってんのー」
母親の声だ。はっとしたカリンは気が付かずに長風呂をしていたのだと思い、身体や髪を洗うのだった。
(済まぬな。カリンよ。今宵も暫し、身体を借りるぞ)
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