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そのアパートに到着する以前に、我はその目標を発見した。
――妙な?
現在、午前三時半。
この時間に出歩く女などそういるものでもない。だが百田サクラは、今、ふらふらとした足取りで自宅とはまるで方向の違う道を歩いていたのだ。
かなりサクラの自宅からは離れた処にいた。どこを目指しているのか分からないが、まるで当てもなく彷徨う根なし草のようであった。
我は悩んだ末、その百田サクラに接触しようと、彼女の傍に降り立った。表向きはただの少女を演じ、物陰から顔を出す。
「今晩は」
カリンとて高校生であるため、こんな時間に一人でふらりと姿を見せるのはおかしな話だが、それは相手とて同じこと。相手がまともならば、女子高生であるカリンの姿に心配をかけるだろう。
まずは挨拶をして近づいた。
街頭がスポットライトのように、カリンをその場に浮かび上がらせたようにも見えたかもしれない。
「!? …………ッ」
こちらの姿を確認したサクラは、酷く驚愕した。とっさに身構え、態勢を低くとったのを見て、こちらもハっとした。
「『組織』の妖怪か……!」
「何ッ……おぬし、まさか!?」
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