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「観念せい! 臨める兵、闘う者、皆陣をはり列をつくって、前に在り!」
そのまま九字を切る。
「行けぃッ!」
封印が強まり、引力を生む黒穴が桂男を引き寄せる。穴からは不気味な触手が伸びてきて、桂男を捕らえるために襲い掛かる。
囂々と空気が騒ぎ、邪気を貪るその様は妖怪ならば誰もが恐怖する存在を喰らう悪食である。
「グギイッ!」
嫌な叫び声を響かせた桂男はなんと、その身体を自ら真っ二つにした。
手刀を作った右手で己の腹から下を切断したのだ。
すると、桂男の下半身が暗黒の触手にからめとられてそのまま穴に吸い込まれていき、我が捕縛の術はその契約を終え、収束する。
「トカゲのしっぽ切りか!」
見た目は百田サクラではあるが、相手は妖怪であり、しかも月のエイリアンなのだ。こちらの持つ想像を超えた行動を行った。上半身だけの桂男は苦悶の表情を浮かべ、そのまま浮き上がっていた。
こちらの驚愕の隙をつき、桂男はまたこちらに爪を向けた。
――またアレか! と、弾丸の爪に備えようと身構えたが、それはフェイクであろうことか、眼球から光線を発射してきたのだ。
ビシュルルッ!!
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