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ナノは、当初、ミドリがチャットで何気なく聞いた『四谷ココロ』に関して何か知っているかと言う問いかけに、「知らない」と答えていた。
だがその後、校門前の幽霊の話題の折に、彼女はうっかりとこぼしてしまったのだ。
ミドリが「もしかして四谷さんの幽霊?」と呟いた際、「ココロちゃんじゃないよ、違う人」と言ったのだ。
それは四谷ココロを知っていなければ出てこない言葉だろう。おそらく、ナノは、何らかの理由で四谷ココロの事を知っているが、話題にはできずにいたのだろう。
隠しているところ申し訳ないが、今は緊急事態なのだ。すまんが、ナノには協力をしてもらうよりない。
我はスマホの通話を開始し、ナノに電話を掛けた。もちろん、カリンを装って。
「はーい、どしたの?」
妙に明るい挨拶と共にナノの声が受話器から響いた。
「あの、分かれたばかりでごめんなさい。どうしても話したいことがあって……」
「うん? なに?」
「できれば、会って話したいんですけど……」
「え? うん……平気だけど……わたしもう、駅のほうまで来ちゃってるよー?」
「じゃあ、いつものカラオケで待ち合せませんか?」
「わかったー。先に入ってるね」
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