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「なるほど、百田さんも第一発見者ですから、事件の犯人が気になりますもんね。でもね、八房との面会は許されないんですよ。すまないね」
「そ、そこをなんとかっ」
サクラが不安げな顔をマサオに向けるので、マサオは無理やりにでも食い下がろうと、三井刑事に詰め寄った。
三井はそんなマサオの事をやれやれと分かりやすい仕草を交えて首を振る。
「だめだって、言ってるでしょう。ほら、帰った帰った」
そう言って、マサオの肩に手を回し、帰そうとするが、三井はそのままマサオと、サクラの間にそっと顔を寄せて、かすれる程小さな声でつぶやいた。
「……教えてやるよ……」
その声にマサオはぞくりとしたが、ここで揉めていても、八房には会えないだろう。大人しく彼に従うふりをして促されるまま、マサオは回れ右をして警察署から出ていく。
そのすぐ後ろに追い払うような態度をみせつつ、三井が付いてきて、マサオとサクラの前を通り過ぎていく。
その折に、軽く顎を引いたのを見たマサオは、彼が『ついてこい』と言っているのだと理解した。マサオは相変わらず不安な顔をしているサクラの手を引いて、結局その三井の後にこっそりと続く形になったのである。
――やがて辿り着いたのは、駐車場だった。
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