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「あなたが、四谷ココロを殺した犯人だね」
三井は端的にそう言うと、車を停車させた。そして、後ろを振り向いて、じっと百田サクラに擬態している何者かを睨みつけていた。
そこはなんだか奇妙に薄暗くて小さなビルの合間にあるパーキングエリアで、やはり、人の気配が全くしない。
マサオは、事態が飲み込めず、三井とサクラを見比べるばかりだった。
サクラの姿をした何者かは、衝撃のあまり身を固めてしまっているのか、正面を向いたまままるで石膏像のように固まっていた。
「う、嘘だろ、百田さんだよ。この人は! 殺人犯じゃないっ」
マサオがほとんど悲鳴のように叫んだ。
「……!!」
その声の大きさに反応したかに見えた偽サクラは、肩を大きく震わせ、可憐な唇を開いた。
その視線は、正面に座る三井を過ぎ去った先にあった――。
偽サクラの反応を怪訝に思った三井が視線を前に戻すと、なんといつの間にかそこにはセーラー服姿の女子高生が佇んでいた。
その制服はM高校のもので、つけているタイの色から二年生だと判別できた。
「い、いつのまに?」
三井が驚くも、今はこんな少女にかまっている場合ではないと考えて追い払おうと考えた時、女子高生が口を開いた。
「見つけたぞ。桂男」
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