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「ッ――!!」
その声を聞いた途端、偽サクラは驚きの速さで車から飛び出した。
「なっ!? 逃がすかッ!」
三井もその反応に車から躍り出た。
事態について行けないマサオだけがぽつんと車に残る形になった。
車から飛び出た偽サクラは、そのまま駆けだそうとするも、ガクンとその場に膝を落としてしまう。まるで駆けだそうとした足が持ち上がらずに、もつれ転んだようだった。
地面に身体を引っ張られているように、もがく偽サクラの前に、女子高生が立ちふさがった。
「もう、逃がさぬ。悪いがおぬしの重力耐性のなさを突かせてもらったよ」
「ぐうっ……」
苦しみもがく偽サクラの様子を見て、はっとなったマサオもようやく車を降りて、サクラに駆け寄ろうとしたが、女子高生が厳しく鋭い声で「寄るなッ」と恫喝するように言ったので、マサオはそこでがちんと固まってしまう。
三井も状況が理解できず、様子見をするように、地面に這いつくばる偽サクラと、正面で立ちふさがる女子高生を見比べるばかりだった。
マサオは、この状況に、助けを求めてきたサクラの言葉を思い返していた。
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