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追われていると言っていた彼女は、あれからずっと周囲を気にしているようだった。あまり人目に付かないように、昨日はサクラと共にラブホテルに泊まり、一夜を過ごした。最もなにかあったということはなかったが、その折も、彼女はずっと警戒をしていたので、よほどの者に追われているのだろうと、マサオ自身も内心ビクついていた。
その追手が――この女子高生だというのか?
あまりにも意外だった。よくよく見ればあの制服はマサオの妹が通う高校のものだし、少女自身の見た目はどこか垢抜けない大人しそうな少女だった。
しかし、先ほど飛んできた圧のある声は、ただの女子高生が張り上げるにしてはパワーがあった。
「人払いをかけていたが、妖気にあてられた者たちには十分効果を出せなかったようだな」
女子高生がそう言うと、三井とマサオをじろりと睨む。
「よ、妖気って……」
「おいおい、キミ。もしやと思うが、そのモモタサクラの正体を知ってるのかな?」
三井が女子高生の方に声をかけつつ、ゆっくりと歩を進めた。
女子高生は、三井を威圧するように片手を向けて掌を広げる。それ以上寄るな、という意味らしい。
「どちらにせよ、お主等は全員記憶を修正せねばならぬ。どうせならば教えてやろう。こやつは妖怪、桂男。モモタサクラという女性の姿を模倣しているだけの月のエイリアンだ」
マサオは、正直ギャグか中二病かのどちらかと思った。妖怪? 月のエイリアン? あまりにもむちゃくちゃな設定だ。妖怪なら妖怪、宇宙人なら宇宙人で統一しろと突っ込みたくなった。
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