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満月の晩、なぜか無性に人を殺したくなる。そして願えば殺されたい少女が寄ってくる。
それはつまり、満月の晩、月に祈った娘が桂男に寿命を吸われて、死に場所を求めていたのを三井が拾い集めていたということになる。
「なるほど、べとべとさんが犯人ではなく、お主があの事件の犯人だったか」
狐火も、三年前の事件が腑に落ちたらしく桂男の告白に頷いた。そして、桂男がなぜ八房を狙い追っていたのかも同時に分かった。
「八房を狙ったのも、乙女の願いだな? 四谷ココロか」
その質問に、桂男はすぐに返答しなかった。暫しの間の後、重く吐き出した。
「……そうだ。四谷ココロの最期の願いだ」
「最期だと。最期を与えたのはお主だろう」
「違う。私が四谷ココロに出会ったとき、彼女の寿命はもう尽きていた」
「なに?」
「彼女は、自殺を図っていた。とあるビルの屋上から飛び降り、彼女は死ぬはずだった。それを地球に落ちてきた私が救ってしまったのだ」
狐火は桂男のその告白には、すぐに理解が追い付かなかった。
だが、もう十分だ。話しはまた組織の中でじっくりと聞き出すこともできるだろう。
こちらの役目はもう妖怪犯罪が広まらぬように桂男を捕まえることなのだから。
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