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重力をかける術で抑え込み、桂男を完全に封じ込めようと、縛術法を符呪したお札で桂男を封印するべく、火狐はいよいよ桂男にお札を張ろうと動いた。
「あとは組織で話を聞く。すまぬが、おとなしく眠ってもらうぞ!」
妖力を札に込め封印を振り下ろさんとした時だった。
「ワァァァッ!」
横から雄叫びと共に、マサオが狐火に向かって突進してきたのだ。
狐火は油断のならぬ相手として、桂男と、刑事をマークしていたが、この頼りなさげな青年が行動を起こすとは予想外だった。
マサオはそのまま女子高生の身体に組み付いて、勢いのままもつれ込んだ。途端、桂男を押し付けていた重力が解放され、桂男が立ち上がる。
「莫迦者ッ!? 邪魔をするな! 分かっておらんのか! アヤツはヒトクイ妖怪なのだぞ!」
マサオが作ったその隙は桂男にとって、あまりにも大きなチャンスとなった。
マサオともみ合いになった結果、狐火が持っていたお札はその手から離れてしまい、無造作に駐車場のコンクリの上に舞い落ちた。桂男はそれを拾うと、マサオが抑え込む狐火へと向けた。
「何ッ、よせッ――」
桂男はその声を無視して、狐火の胸元に振り下ろした。すると、肉体を覆う妖気をお札が封じ、狐火は急激に意識が遠のいていくのを感じた。
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