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二木カリンの身体に宿る獣憑きの霊力が眠りにつき、そして、ただの女子高生となったカリンの肉体が、そこに脱力して横たわる。急な封印の結果、宿主のカリンの意識も眠りに落ちたままの状態となったのだ。
大人しくなった女子高生の動きに、マサオは慌ててその身をはがして立ち上がった。
薄れていく意識の中、どうにか懸命にカリンの無事を祈り続けた狐火は、またしてもしてやられてしまった。人間相手には手出しができないという条件が、狐火をたじろがせてしまったのだ。
薄れる意識の中、マサオと桂男は、その場から駆け出して行った。恐らく八房の元へと向かったのだろう。
何やら、三井に向かってマサオが叫ぶように頼んでいた。先を行く桂男は弱り切った身体に鞭を打ち、かけていく。
マサオはどうやら、三井に倒れてしまった女子高生の事を頼んだらしい。三井はそれに頷いた。返事を受けて、マサオは全力で桂男を追いかけた。
そして、後に残ったのは、不気味な笑みを浮かべる三井と、完全に意識を失ったカリンのみとなったのである――。
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