24人が本棚に入れています
本棚に追加
では、自分は自殺などそもそもしなかったのかもしれない。そんな風に考えて、今度こそ実行に移して見せると彼女はもう一度、駅付近のカラオケビルの屋上へと向かう事にした。
このカラオケが入っているビルは、管理がずさんなため、容易く屋上に上がれることを知っていたのだ。
自殺の場を学校にしようかとも思った。だが、それは真に愛する部活の顧問にも迷惑をかけるだろう。それにできるならば、彼女は自分が汚されたという事を愛する人に知られたくはなかった。この妊娠してしまったという事実を消し去ってしまいたかったのだ。
自分を身ごもらせた相手の、担任教師は太々しくも平然と教壇に立ち、普段通りの教師を演じていた。
ココロからは、担任の八房が何を勘違いしたのか分からないが、ココロが八房を好きだと考えていたらしい。
職員室によくやってきていたココロの目的は、吹奏楽部の顧問なのであったが、担任の八房はそれを自分目当てだったと勘違いしたのだ。
そして、八房はその勘違いを暴走させ、ある日彼女を強引に抱いたのだ。
ココロは、八房を憎んだが、愛する人の事を想う気持ちが勝った。
大好きな顧問の先生に、自分が汚されたという事を知られたくなかった彼女は、八房とのことを誰にも話すわけにはいかなかったのだ。
それから、ココロは担任の教師の気色悪い視線に震えながらも毎日学校へ行った。
最初のコメントを投稿しよう!