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ココロは、自殺をしに来たとは言えず、またどうしてここに女性がいるのだろうと訝しんだ。
対する女性は白い肌をした細身の女性で、その表情は能面のように無表情だったのでなんだか不気味な感じもした。だが、不思議と彼女とはどこかで会ったような気もする。普段なら警戒するような他人に対して、まるで血を分けた兄弟のような感覚が底のほうにある。
「寿命の外側にはみ出た事を謝りたい」
「え?」
いきなりその女性は表情を変化させずにそんな風に言った。言われている意味が分からず、ココロは狼狽えた。そもそも、今の言葉が自分に対して投げかけられたものかどうかもあやふやに感じた。
「死が、望みなのか」
白い女性……それはすなわち、地球人を監視して得た情報から構築したコピー状の百田サクラの姿をした桂男は、ここにココロがまたくるだろうと考えて待っていたのである。
彼女の望みは、死。苦しみからの解放だった。
桂男の言葉に、ココロは、なぜか素直に頷けた。この相手に対して、取り繕った言葉を返しても無駄なように思えたからだ。
「お前は、一度死ぬところだった。それを私が救ってしまったのだ」
「あなたが……?」
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