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桂男は寿命を食らう。
地球に落ちてきたことで、消耗したエネルギーの補給のために、寿命は不可欠だった。
だから、生まれ始めた命の寿命を頂くことにしたのだ。
――その芽吹く命の願いをも受け入れる事で――。
「待ってくれッ! 百田さんっ……!」
物思いにふけっていた桂男は、後ろから掛けてくる青年の声に振り向いた。ぎゃあぎゃあと、泣きわめくような強い風が吹いているようだった。
「私は、モモタサクラではない」
「……ほんと、なん、だ」
「私は桂男。月から来たエイリアンで間違いはない」
「……そういわれても、僕から見れば、あなたは百田さんにしか見えなかった」
青年、千原マサオは汗を垂らして、ぎこちなく笑った。まだ、半分は信じていないような表情だった。
「ま、待っててくれたのか? 僕の事」
「……気になっていた」
「……な、なにが?」
「なぜ、私を救った?」
マサオは、気まずそうに、あるいは自嘲するように、薄く笑った。
「それは……百田さんのことを……好きだったから」
「だが、お前は私がモモタサクラではないと分かってからも、あの組織の妖怪から私を救った」
「……あそこで動かないと、自分が自分でなくなるみたいに思えたんだ」
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