ニギミタマ① ~十日から十四日~

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 丁寧口調で言ったのが、同じ仲良しグループの一人、二木カリンだ。彼女は同学年ながら、私らの仲良しグループに後から参加したので、気でも引けているのかいつも腰が低いというか、遠慮がちな様子である。 「あー……そういえば、女の子の日にも影響するんだっけ?」  青い顔で辛そうに言うのは千原ミドリだ。彼女はまさに今、その女の子の日で苦しんでいる最中であった。  本当かウソかはっきりしないが、月経というだけあって、月の満ち欠けに影響するのだとか。  グループの雑学王として君臨している私の調べでは、生理の周期と月の満ち欠けの周期がほとんど同じだからだと聞いたことがある。 「お薬、あげようかー?」  ナノがミドリを心配して言うがミドリは首を横に振った。 「いい……薬嫌いなんだ。自然がイチバン……うぐ……」  そう言って呻くからこちらとしても、もう心配そうな表情を送るしかなかった。普段なら一番ボーイッシュにはしゃぐタイプのミドリなのでなおの事、その様子は痛ましかった。 「今日はもうお開きにしよっかー」 「そうですね。あ、でも私ちょっとお手洗いに」 「あ、私も行く」  そう言ってナノとミドリを残し、私はカリンと共にお花を摘みに行くことになった。  個室の202号室を出ると左手の通路の先に階段がある。中二階に女子トイレはあるので、そこまで一緒に向かう。 「結局、カラオケに来てるのに一曲も歌いませんでしたね」     
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