ニギミタマ② ~二十日~

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 それがアタシの日常だ。同じように繰り返されていく学生生活。変化を求めながら、変化が怖い矛盾を抱えて、アタシは毎日なんとなくを繰り返すんだ。  ただ、今分かるのは、恋愛よりも友情が心地いいって感覚だ。  みんなと一緒だと楽しいし安心する。それは間違いがないと胸を張って言える。 (あ、そっか。だから、捗るのかな……こいつらと話しながらだと)  アタシはチャットで勉強の質問をしながら、ペンを走らせる。解けない問題も、四人で取り組めばなんでも解けていけそうだと思った。  夜も更けて日付が変わる。午前零時を回る瞬間をスマホの画面でちょうど目にして、今日のはじまりをなんだかぐっと感じた。  六月二十日が去り、六月二十一日が、やってきた。  ……そして翌週のテスト期間はアタシはひぃひぃ言いながら過ごすことになった。付け焼刃の勉強ではあったが、最低限戦いになるレベルの抵抗はしてみせたつもりだった。  なにせ、テストは二十四日からであり、アタシが本腰入れ始めたのが、二十日からだったからだ。  わはは。知ってた。遅すぎたというのは。なんか、みんなと一緒だとどんな問題でも解けるとか、かっこよく言って見せたがそれにしたって遅すぎたわけだ。  まぁ、いいじゃないか。友情のありがたみを感じたのは本当なんだから。……いいという事にしておいてほしい。     
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