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あと、それからアニキだったが、やっぱり彼女ができたらしい。
会わせろと言ったが、「絶対会わせん」と言われてしまった。
そう言いながらも、なんだか嬉しそうな顔をしているアニキを見て、やっぱり恋愛って楽しいのかななんてちょっとだけ興味を持った。
「ねえ、いいじゃん、今度夕飯に呼びなよ」
「なおさらダメだね」
何がなおさらなのか不明だが、アニキはどうあっても紹介する気はないようだ。
不思議なもんで、これまで会話なんてほとんどしなかったアタシたちが、この日を境に少しだけ話すことが増えたようにも思った。
なんとなく、アニキの雰囲気が変わったからかもしれない。大学に入ってなのか、カノジョができたからなのかはわからないが、人は変化していくものなんだなと、アタシは生意気にもうんうん頷いていた。
もう、空気のようなアニキはそこにいなかったからだ。人格みたいなものは変わっていないけれど、アニキを包む色合いみたいなのが全然違って見えた。なんだかそれを見ると、うらやましくも思えたのだ。
いつか、アタシもカレシが出来て、変わるのかもしれない。
変わりたくないような、変わりたいような。
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