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ニギミタマ③ ~十八日~
ニコニコと笑うのは、そうしているほうが幸せに感じるから。
トゲトゲはイヤ、ギスギスは嫌い。ストレスを生むぶつかりが、わたしをいつも苦しめる――。柔らかくいれば、人と衝突したって、柔軟に受け止められるから。だからわたしは、いつもふわふわ。
「ナノは、ほんとマイペースだよな」
ケイコちゃんがそう言ってやれやれという具合に肩をすくめる。
「そんなことないよぉー」
「はいはい。今日、久々に晴れだってさ」
「そっかー、ずっと雨だったもんね。まだ曇ってるけど」
そんな日常会話をしながら、わたしはケイコちゃんと一緒に朝の通学路を歩いていた。まだ空は灰色だし、昨夜までは雨が降っていたせいで、道は濡れているけれど、夕方には晴れ間も見えて、星空を見ることもできるかもしれない。
まるで、今の私の心模様のようだった。
「……ん?」
もうすぐ学校に着くという校門の前まで来て、何やら奇妙な空気が辺りに充満しているのを感じ取った。
わたし達同様に、学校に向かう生徒がまばらに歩いているけれど、校門付近で奇妙な流れを作っていたのだ。まっすぐ校門に入っていけばいいのに、一画を避けるように人の流れは出来上がっていた。
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