ニギミタマ③ ~十八日~

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 ざわざわとする周囲の声に、ケイコちゃんも何事かと思ったらしく、その人の流れの歪さを生み出す原因を探った。  すると、校門の先に、女性がぽつんと立っているではないか。  その女性は長い髪を肩まで垂らし、細くて長い脚で棒立ち姿で佇んでいた。着ている服はよくあるカーディガンにショートパンツのスタイルだったのだけど、どうもよれよれというか、さながらその服を着っぱなしという印象が浮かんだ。  浮浪者、と言うにはその女性は若く、整った顔立ちをしていたが、白い顔はどこか病的な不気味さが漂っていた。  まるで、幽霊みたいに思った。なんだろうと思いながらも不気味すぎてみんな声もかけず、目を合わせないようにその女性を避けるように校舎へと向かう流れを組み立てていた。 「いこ……ナノ」  ケイコちゃんもその流れに従うように、顔をそっちに向けないまま、わたしの手を引いた。わたしはその手に引かれるまま、ケイコちゃんの少し後ろを歩いて、白い女性の隣を横切った。  その時だ。微動だにしない棒立ちが、揺れて動いた。  すぅっと音もなく、細い腕が持ち上がって、彼方を指さしているようだった。  ぎょっとしたケイコちゃんは、思わずその動きを見てしまって、指の先を目で追った。わたしもまるで誘われるかのごとく、延ばされた指の向こう側を見た。     
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