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ケイコちゃんがそう言って、つかつか玄関まで向かう。ケイコちゃんの座右の銘は、まさにそれで、厄介ごとには首を突っ込まない事と、よくわたしに言って忠告してくれた。わたしがいつもふわふわしてるせいだろう。
「今の話、ミドリとかに話さないでおこう」
「えー? なんで?」
「だって、カリンはともかく、ミドリは食いつきそうじゃん。正直、私、今は変な事で気持ちをかき乱されたくないんだよ。テストもあるしさ」
「うん、わかったよー」
確かに、ミドリちゃんに話したら、もう試験も目の前だっていうのに、また夜中に違う話で花が咲いちゃうから、黙っておいたほうがいいかもしれない。
――黙っておく――。
それが今のわたしには、簡単なことではないという事を、ケイコちゃんは知らないだろう。
つい先日、同じ学年の女の子が亡くなったことで、学校は少しざわついていた。そういう話題があまり好きじゃないのか、ケイコちゃんはその手のことになると、少し機嫌が悪くなる。
だから、わたしもあまり殺人事件の話はしないようにしていた。ミドリちゃんはちょっと興味を持っているようだったけど、やっぱりケイコちゃんが嫌がってるのを感じ取ってか自重はしているようだった。
――でも、わたしが語らないのには、もっと根本的な部分であった。
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