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ニギミタマ④ ~二十三日~
ニュースから悲しい報せが流れても、人は普段を維持するために、その心を揺らす事なんてない。
遠い国の誰かが死んだと報じられたって、その人の頭の中にどれほど残るものだろうか。それが私は寂しくも思う。
そして、それは私にだって該当するのだ。
四谷ココロという隣のクラスの女の子が亡くなったと聞いて、もちろんショックは受けた。
でも、それは四谷さんに対して可哀そうだとか、酷いとかを抱いたわけではなく、身近で起こった事件に、自分が巻き込まれないだろうかという不安と恐怖からくるものでしかない。
私だって、結局はこの社会の中で生きているただの女の子にすぎない。
面識の無い人の死に、どれほど感情を動かされるものだろうか。私も、寂しい人の中の一人なのだ。
だから、私自身は考える。もし、私は死んでしまう事があれば、どれだけの人の心に影響をあたえるのだろうか、と。
人は、きっと亡くなった後にこそ、その人の価値がはっきりとするのではないだろうか。
その人の死が、どれだけ多くの人々の心を動かすかが、人の価値の秤になるのだろうと思う。
――私が死んでも、きっと、そんなに影響を受ける人はいない――。
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