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現在、時刻零時過ぎ。日付をまたいだばかりだ。六月二十三日、日曜日だ。
最後の記憶を手繰り寄せると、それは下校するところまでだった。
土曜日だったから、昼には学校も終わって、来週の月曜からテストだ。テスト勉強のために、みんな早く帰ろうといつものメンバーとお別れをしたのだって思い出せた。
だが、その後の記憶がまるでない――。
ここまで露骨なのは生まれて初めてだった。半日は記憶がないのだ。あまりにも恐ろしい。私は、いよいよ状況に対して焦りを覚えてきた。
これはいつものボンヤリどころの状態じゃない。
身を起こそうとして、頭をぶつけた。非常に狭い空間だ。
「なに、これ……」
状況が飲み込めない。
なんとかこの場から出ようともがくが、狭いこの暗闇の場は身体を起こすこともできない程度なのだ。
私は適当にあたりの壁を探り出した。壁はなんだか歪で凸凹していた。そして、上の天井に当たる部分はステンレスのような手触りだった。
コンコンと叩くと、妙に音が反響するように、ごんごんと重く音が響いた。
「……お、落ち着かないと……」
まずは状況を把握しなくてはならない。
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