サキミタマ① ~十五日から十六日~

1/12

24人が本棚に入れています
本棚に追加
/241ページ

サキミタマ① ~十五日から十六日~

 その日は朝から雨が降っていた。僕は傘をさして、近くのバス停まで歩く。  僕の名前は千原マサオ。十九歳の大学生一年だ。趣味は特にないが、強いて言うなら小説を読むことが好きなくらいか。  小説と言ってもネット小説だ。ただで読めるし、ここからアニメ化やコミックになる作品もある。それにスマホでどこでも読めるし非常に便利だった。  とはいえ、膨大な量のネット小説が毎日アップされているので、好みの作品を発掘するのが大変だ。  しかしながら、埋もれていた良作を見付けた時は嬉々としてその作品をフォローし追いかける。最近ハマっているのはダークファンタジー系で、グロ描写や性的描写が含まれているものが好きだった。  きっかけはたまたま見たアニメで、魔法少女が殺し合いをするようなヤツだったんだが、そこからそういった系統に食指が動きだしたのだ。  ネット小説というのは結構アングラなもので、自由に書いている人間が多いためか、中にはかなり過激な表現のものもあった。  それに、まるで本物を見てきたみたいな描写を交える作者もいて、おいおいコイツ、マジで人殺したことあるんじゃないかとか邪推するものもあった。     
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加