サキミタマ① ~十五日から十六日~

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 ともあれ、今はこういうジャンルにハマってしまっている自分がいるわけだが、こんなことは他人には口外できるはずもない。  自分のスマホの検索履歴はそんな単語ばかりだから、下手にスマホを人に見せるわけにもいかないので、ロックなどはかなり厳重にかけている。  今日も朝、大学へと向かうバスの中でスマホをいじってネット小説を読んでいた。雨の降る中、傘をさして待ち、やっと来たバスはまばらに席が空いている。  後ろの座席が空いていたので、そこに腰かけてネット小説を読んでいたが、隣に誰かが座ったら僕は即座に読むのをやめて、スマホをしまう。  横からちらりとでも覗かれたら、朝からなんてものを見ているんだと言われそうだからだ。実際そんな風に非難の声を上げるような人はいないだろうが、白い目で見られることは間違いないだろう。  それと、実はもうひとつ、僕が小説を読まなくなる条件がある。  それは、自分が乗ったバス停から三つ目に着いた時だ。  そこで僕はいつも、スマホから目を上げて乗り込んでくる乗客を確認する。 (きた……)  バスのドアが開き数名乗り込んでくる中の一人に、僕の意識は注がれていた。     
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