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冷たい雨が、バカな僕の頭を冷ますのが、さらに情けなさに上塗りしてくれたのだった――。
家に帰ると、妹が学校から帰ってきていて、ずぶ濡れの僕を見るなり、「うわ、部屋入るな」と顔をしかめた。
言われずとも分かっている。僕は玄関からまっすぐ風呂場に行き、着替えとタオルを用意した。僕と妹は正反対の性格をしている。僕は思慮深いが、妹は猪突猛進だ。一度痛い目にあえばいいのにと思うのに、痛い目にあったのは、こちらのほうであった。
だが、今日の僕の仕出かしたことを考えると、僕だって妹のことをバカにできない。僕だって、あの時はまさにイノシシのごとく、男に突撃していったのだから。
後悔ばかりが沸き起こり、僕は重たい溜息を吐く週末になってしまった。
――その翌日、六月十六日、日曜日のことだ。
雨はあがったものの、どんよりした曇り空のその日、両親はセ・パの交流戦を見に行くとかで野球場に遊びに行った。妹はどうするのか話もしていないが、親から昼食は自分で何とかしろと言われてしまい、僕は一人、昼飯を食べにまた駅前までやってきていた。
駅前商店街のイタメシの店はなかなか美味くて好きなので、よく行っていた。今日もそこで昼食にするかと考えていた。
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