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「え?」
思わず声が出たほどだった。
そこには、二人いた。
一人は高校生の女の子だ。お腹でも痛いのか壁を背にうずくまったような姿勢だった。
もう一人は女性だ。とても線の細い女性。
白い肌は闇に浮かぶように不気味だった。その女性はうずくまる女子高生を前かがみに窺っているような姿勢だった。
最初は女子高生がお腹でも痛くなったのを、心配しているのかな、と思った。
私は、場合によっては手助けできることもあるかもしれないと、多少警戒しながらその二人に近づいて行った。
コツコツとアスファルトを叩く自分の足音が異様に大きく響いているようで、私はなんだか嫌だった。
すると、こちらの接近に気が付いたのか、白い女性がこちらに、くりんと向き直った。
最初は赤いマフラーかスカーフでもしているのかと思った。
六月にマフラーはないなと、自分で考え直してぎょっとした。
その女性の口から首にかけて、真っ赤に染まっていた。
変に明るい月の光が、その赤を際立たせていたようにも見える。
それが血だと気が付くのは、うずくまる女子高生を見た後だった。
「ヒッ――」
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