サキミタマ② ~十三日、十六日~

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「すいませんね。呼びつけちゃって……」 「いえ、バイトが近くですから……」 「あ、バイトの時間もあるんですよね。すいませんね、ほんと。ちゃちゃっと済ませますから」  刑事さんはそう言って、ニコニコと笑う。  その笑顔が取り繕ったものだと私にはすぐに分かる。……でも、それだって私の中の偏見がそう思わせているだけかもしれない。 「今日は香り、しないんですね」 「え……?」 「あ、前に会った時、いい香りだったので……って、これはセクハラですかね! あはは、わすれてください」  香り……、そういえば前にバイト先で先輩にいい香りの髪だねと言われた。流石美容師だなと感心したのだ。確かに私は最近高級リンスを使うようになっていた。その香りは気に入っていたから嬉しかったのを覚えている。 「あの、お話って……」  私はできる限り冷静を取り繕って聞いたが内心は戦々恐々としていた。キミがやったんでしょ、と今にも言われそうだと思ったからだ。 「いやー、あれから思い出したコトとかあるかなと思いまして。あ、ニュース見ました? あの亡くなった子と面識ありませんでした?」 「ニュースは……見ました。でも、あの子はまったく記憶にありません……」     
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