サキミタマ② ~十三日、十六日~

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 席に戻って、三井さんがアイスコーヒーを飲むと、三井さんは質問から少し離れて他愛ない会話を繰り出してきた。私はへたくそな相槌を打ちながら、ウーロン茶をストローで少しだけ啜る。  特に面白い話も聞けないかと三井さんが諦めると思った頃、三井さんがぎょっとした表情を浮かべた。  何かに驚いたような顔をしていたが、それは私の後ろに視線が向いているようだった。  なんだろうと気になったと同時に、男性の声が店内に大きく響いた。 「す、すいませんでした。昨日は!」  若い男性……二十歳かそこらだろうか、彼は三井さんに頭を下げていた。  どうやら三井さんと知り合いなのだろう、態度からすると彼の部下とか後輩だろうか。 「あ、ああ。あの時の? いや、いいよ。別になんともなかったから」  やはりそうだろう。何かこの若い男性がミスか何かをして謝りに来たというところか。  なにやら落ち着きのなさそうな雰囲気をしているし、新米なのかもしれない。 「その、お二人が恋人だと思っていなくて……」 「えっ? いや、違う。違うよ?」  三井さんも慌てたようだった。どうやら、私の事を三井さんの彼女と勘違いしているのだろう。本当におっちょこちょいなようだ。  私もきちんと訂正を伝えるために、「はい」と笑顔を作り返してみせた。     
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