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席に戻って、三井さんがアイスコーヒーを飲むと、三井さんは質問から少し離れて他愛ない会話を繰り出してきた。私はへたくそな相槌を打ちながら、ウーロン茶をストローで少しだけ啜る。
特に面白い話も聞けないかと三井さんが諦めると思った頃、三井さんがぎょっとした表情を浮かべた。
何かに驚いたような顔をしていたが、それは私の後ろに視線が向いているようだった。
なんだろうと気になったと同時に、男性の声が店内に大きく響いた。
「す、すいませんでした。昨日は!」
若い男性……二十歳かそこらだろうか、彼は三井さんに頭を下げていた。
どうやら三井さんと知り合いなのだろう、態度からすると彼の部下とか後輩だろうか。
「あ、ああ。あの時の? いや、いいよ。別になんともなかったから」
やはりそうだろう。何かこの若い男性がミスか何かをして謝りに来たというところか。
なにやら落ち着きのなさそうな雰囲気をしているし、新米なのかもしれない。
「その、お二人が恋人だと思っていなくて……」
「えっ? いや、違う。違うよ?」
三井さんも慌てたようだった。どうやら、私の事を三井さんの彼女と勘違いしているのだろう。本当におっちょこちょいなようだ。
私もきちんと訂正を伝えるために、「はい」と笑顔を作り返してみせた。
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