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千原マサオと名乗った男性は、妙に緊張している様子で若干声が裏返っていた。ファーストインプレッションもなんだかおっちょこちょいな印象だったが、やっぱり改めておっちょこちょいな人に見えた。
「千原さんですね。それで……そのあれから何か進展はありましたか?」
「えっ? なんの件のお話ですっけ?」
「で、ですから……あの、女子高生の殺人事件です……」
「あ、あ? あの、ジケンですか。こ、怖いですよね。は、犯人まだ見つかってないんですよ」
千原さんは気が付いたみたいに言って、声のトーンを落とし気味にまだ犯人が見つかってないという。まだ捜査の進捗はそう進んでいないということを申し訳ないと思っての発言なのか、彼は所在なげに視線をきょろきょろと泳がせている。
「まだ、ですか……。その、私……本当に怖くて……」
「そう言えば……、さっきノイローゼって……おっしゃってましたね」
「は、はい……。思ったよりも衝撃が大きかったみたいで……毎夜碌に眠れないんです」
「それは、気の毒ですね……。あ、あのッ。ボ、ボボ、僕でよければ、相談に乗りますよッ……!」
「ありがとうございます……。一刻も早く、犯人が見つかればと、それだけですので……頑張ってください」
「は、ハイ。が、がんばりますッ」
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